概要:
地域住民の津波からの避難状況をシミュレートすることで避難困難地域の抽出を行う。同時に、新設避難施設の配置による効果を検証することで、避難計画検討の支援を行う。
背景/課題/ニーズ:
地域住民の避難施設カバー範囲の把握。適切な避難施設配置計画の検討。
目的:
2011年の東日本大震災の津波による甚大な人的被害の教訓を受け、沿岸部自治体では津波避難施設の整備が進められている。しかしながら、居住者の転入、転出や地域住民の高齢化により、地域の状況は時々刻々と変化している。これにより、安全に避難することが難しい地域が生じることが想定される。このような地域に対し、限られた資源の中で、より効果的な避難施設配置の検討が求められている。
図1:新設避難所の効果検証イメージ
課題への解決策:
現状の地域住民の避難先、避難経路、避難時間を計算し、その結果を可視化する。この結果を踏まえ、避難施設候補の絞り込みや新設避難施設を配置した場合のシミュレーションを行い、その効果を提示することで避難施設配置計画策定を支援する。
適用データ:
地域住民の人口、避難施設の位置情報、収容人数情報、道路ネットワークデータ
適用技術、ツール(システム):
ネットワーク型避難シミュレーションツール
検討結果1:
現状の避難施設の配置で避難シミュレーションを実施した結果、一部地域では避難に時間がかかる地域(避難困難地域)があることが判明した。これに対し、自治体が検討している避難施設候補地を避難所に想定した場合のシミュレーションを実施すると、その効果が高いことが示された。避難施設候補の所有者にこの結果をエビデンスとして示すことで、非常時の避難施設利用に協力いただけるようにアプローチした。
検討結果2:
避難所設置の効果はその周辺のみでなく、他の避難施設の施設周辺にも波及して影響を与えることを示した。
図2:新設避難所想定時に他の避難所周辺の避難者へ与える影響イメージ