概要:
マルチエージェントシミュレーション技術を用いて、より安全な避難手段(徒歩避難、自動車避難など)、避難先、避難経路の検討といった避難計画策定を補助する情報を提供する。また、シミュレーションによって得られた結果を動画にすることで、防災教育等に活用する資料を提供する。
企業内課題、社会課題、ニーズ:
エビデンスに基づいた避難計画の策定。地域住民に対する防災教育用コンテンツの作成。
背景/目的:
2011年東日本大震災では、2万人近い死者・行方不明者の被害を受けたが、2004年インドネシアスマトラ沖地震インド洋大津波災害では17万人を超える被害者を出していた。両災害の被害において、適切な避難行動をとらなかったことが被害拡大の一因であり、防災教育の必要性は高い。ここでは、インドネシアスマトラ沖地震インド洋大津波災害で甚大な被害を受けたインドネシアバンダアチェ地方を対象に、シミュレーション技術を用いて、全ての住民が安全に避難できる方法をハード面(新設避難所の位置、規模の検討)とソフト面(避難手段、避難先、避難開始時間)の両面から検討を行った。
課題への解決策:
防災計画のPDCAサイクル内にシミュレーション技術を組み込むことで、対策効果の検証を行う。
適用データ:
道路ネットワークデータ、居住者データ、避難所データ、津波浸水状況の時系列データ
適用技術、ツール(システム):
広域ネットワーク型マルチエージェントシミュレータ
検討結果1:
インドネシアバンダアチェ地方の避難手段の違いによる状況変化。車避難が多いケースと徒歩、バイク避難が多いケースを比較し、車避難が多い場合、被害が拡大する可能性があることを示した。
検討結果2:
防災コンテンツを作成し、インドネシアの津波ミュージアムに設置した。また、同ソフトウェアをWindows PCでも稼働するようにし、現地小中学校への防災ソフトウェアとして配布した。